2020年03月19日

四季折々、ありのままの自然を楽しむ
「川上マルシェ」のワークショップ

自然を楽しむ“カワカツ”

春には一斉に新しい命が芽吹き、夏には川上川が新緑の中をさらさらと流れ、秋にはもみじが美しく色づき、冬には一面の銀世界が広がるーー。昔から少しも変わらない、川上の風景だ。「川上マルシェ」が手がけるワークショップでは、そんな川上の人々の暮らしを体験できる。「非日常的なイベントではなく、背伸びしないで、ありのままの川上を楽しんでもらえるように意識しています」と語るのは、川上マルシェの代表を務める橋本あみるさん。川上を楽しむ活動(=カワカツ)をテーマに掲げ、2016年から取り組みを始めた。活動内容は田植えや川遊び、味噌づくり、しめ縄づくりなど多岐にわたり、毎回、親子連れを中心に県内外から30人ほどが参加する。

大切にしたいのは田舎の日常

1年目には、6月に田植え体験を、10月に稲刈り体験をそれぞれ実施した。田んぼに入ったことがない子どもや都会育ちの参加者たちが、青空の下で泥だらけになって手植えを行い、豊かに実った稲も自分たちの手で刈り取った。体験後には必ず地元の人と田舎料理を楽しんだり、おしゃべりをしたりする時間を設けているのも、カワカツの特徴だ。「食育とか、自然と触れ合うことの大切さとか、難しいことは考えていません。純粋に『楽しいからやってみようよ』という感覚で呼びかけています」。そう話す橋本さん自身も、この雄大な川上の自然の中で育った一人。主催者ではあるが、参加者の目線に立って、ワークショップを楽しむことを心がけている。

今あるものに目を向ける

カワカツを始める前は、地域の活性化について「川上を魅力的な町に変えなければいけないと思っていました」と話す橋本さん。大きな公園やショッピングモールをつくろうと東奔西走したが、なかなかうまく行かなかった。そんなとき、県外から川上に移り住んできた人から「手つかずの自然が溢れている川上に引っ越してきてよかった」という言葉を聞き、それがカワカツの原点になった。以降、ないものではなく、今あるものに目を向けるようになったという。「いつか田んぼの畦道でワークショップの参加者が地元の人とおしゃべりしている光景が普通に見られるようにしたい」と楽しそうに話す橋本さんの目は、川上の明るい未来を見据えていた。

お話を聞いた みやさかのひと

橋本 あみる さん

川上地区出身。川上で行政書士事務所を営みながら、川上の自 然を楽しむ活動(=カワカツ)をテーマとしたさまざまな ワークショップを手がける「川上マルシェ」の代表を務める。